日本の錦織圭選手がベスト8で幕を終えた全仏オープンでしたが、優勝を飾ったのはテニス界におけるビック4の一人ラファエル・ナダルでした。
今回はそのビック4のプレースタイルや錦織圭選手との対戦成績などをご紹介します。
もくじ
テニスのビッグ4:赤土の帝王(クレーキング)ラファエル・ナダル
引用元:https://www.thetennisdaily.jp/news/contents/atp/20170423_0023338.php
まずは全仏オープンで優勝を飾ったラファエル・ナダル選手です。最新の世界ランキングでは2位を維持しているベテランの33歳。彼の特徴はなんといってもクレーコートでの勝率が9割を超えていることです。
その数字、実に92%。4台大会の中で唯一のクレーコートである全仏オープンの勝率はなんと97.8%という数字もあります。
この勝率はいわばクレーコートの大会で優勝する確率ですから、クレーコートでは本当に負け知らずなのです。全仏オープンでも今までに2回しか負けたことがなく、今回の優勝で実に12回目の優勝を飾っています。
なぜこれほどまでに、特にクレーコートで強いのか。その強さの秘密には、コートの特長を生かした彼のプレースタイルにあります。クレーコートというのは、球がコートから摩擦を受けやすいので球速が落ちやすいことと、足の踏ん張りが効きにくい事が挙げられます。
では彼のプレースタイルはというと、ラリー戦に持ち込むベースラインプレーヤーで、トップスピンを効かしたフォアショットが武器です。さらに左利きで、ギリギリの球も攻めた返球ができる精度の高さが持ち味です。
球速が落ちやすいはずなのにトップスピンが異様にかかっているので、対戦相手からすると打ちづらく、決まるようなボールも際どいコースに返球がくるので、非常に厄介です。
錦織選手との対戦成績は、ナダル選手の11勝2敗。特にクレーコートは4勝0敗で、錦織選手に許したセット数も1だけと圧倒的な強さを誇っています。
テニスのビッグ4:芝の王者 ロジャー・フェデラー
引用元:https://www.thetennisdaily.jp/news/contents/grandslam/wimbledon/20170705_0024778.php
二人目はビック4の中での一番の年長者、ロジャー・フェデラー選手です。現在37歳でランキング3位につけている大ベテランです。今回の全仏オープンは準決勝でナダル選手に敗れましたが、ベスト4の成績でした。
実はフェデラー選手はビック4の中で、4大大会での優勝回数が一番多く、実に20回にも上ります。さらにもっと凄いのがランキング1位の在位期間が歴代で最長であることです。その数字、なんと302週です。
1位の座から陥落したり返り咲いたりもしていますが、実に6年近く一位であったという事になります。その他にも決勝進出回数や最年長1位記録など40以上もの単独記録を保有しています。
テニスの試合は芝生コートでの試合が多いため、その圧倒的な強さから芝の王者の異名を持つフェデラー選手ですが、プレースタイルも芝生で強さを発揮します。
史上稀に見るオールラウンドプレイヤーで、派手なプレイは少ないですが、サーブ・レシーブ・フォアショット・ネットプレー全てが超一流です。弱点らしい弱点がないどころか全てのプレイがアイデア豊富で、攻撃のバリエーションも多彩です。
錦織選手との対戦成績はフェデラー選手の7勝3敗。芝生コートでの試合は今までに1回しかありませんが、2-0でフェデラーが勝利しています。
テニスのビッグ4:新時代の申し子 ノバク・ジョコビッチ
引用元:
https://www.thetennisdaily.jp/news/contents/grandslam/french/20170605_0024192.php
3人目は現在ランキング1位のノバク・ジョコビッチです。全仏オープンはフェデラー選手と同じベスト4の結果でしたが、1位を維持し2018年11月からの1位在位期間を7週としています。
デビュー当時は上記2人の2強時代だった為、頭角を現してからも「第3の男」と呼ばれていましたが、徐々に好成績とともに上記2人との対戦でも勝利を収めるようになります。ランキング1位を獲得してからは3つ巴の争いを繰り広げますが、2015年からの4大大会連続優勝とともに頭ひとつ抜け出し名実ともにナンバー1の称号を自分のものにしています。
彼のプレースタイルはナダル選手と同じベースラインプレイヤーですが、ディフェンス能力が高いタイプで、とにかく拾って拾って際どいコースへ打ち返していくスタミナとコントロール能力を有しています。「精密機械」のように正確にどんな球でも打ち返してしまうところが彼の強さの秘訣です。
唯一の弱点といわれているのが、ネットプレー。基本的には前に出てくることがないプレイヤーですが、ネットプレーの機会ではミスをしたり横を抜かれたりすることがたびたびあります。
また、これはネット上での呼び名ですが「ジョコップ」と呼ばれることがあります。これは彼の(ジョコビッチの)ドロップショットがデビュー当時は素人レベルに技術に乏しく、ネット上でよく取り上げられた際に命名されたものです。
錦織選手との対戦成績はジョコビッチ選手の16勝2敗。ビック4の中で1番錦織選手との対戦が多いですが、現在15連勝中と大きく勝ち越しています。日本の報道でもよく苦戦してタイブレークまで持ち込むことは多いですがなかなか勝てないと言われています。
テニスのビッグ4:カウンターパンチャー アンディー・マレー
引用元:
https://www.thetennisdaily.jp/news/contents/overseas/grandslam/wimbledon/20170703_0024733.php
最後は、現在股関節の故障からの復帰を目指しているアンディ・マレー選手です。今年1月に手術を行ってからのリハビリにより、年内のシングルス復帰を目指しています。現在は故障の為ランキング圏外ですが、歴代2位の年長者(29歳)でのランキング1位獲得という記録を持っています。
彼の特徴的な記録にオリンピックでのシングルス連覇という記録があります。2012年のロンドンオリンピックでは決勝でフェデラー選手を、2016年のリオデジャネイロオリンピックではノーシードのデルポトロ選手を破って優勝しています。
プレースタイルの特徴としては広い守備範囲からのカウンターショットとレシーブ力にあります。テニスはサーブゲームをキープして取られないようにするスポーツですが、レシーブ力があるということは、相手のサーブゲームをブレイク(勝ってゲームを奪う)しやすいということです。
レシーブをきついコースへ返球し、攻められても高い守備能力で追いつき、さらにきついコースへ返球するというのが彼の持ち味です。また、相手によって戦術を変えられるインテリジェンスも持ち合わせている。早いタイミングから仕掛けたり、我慢してミスを誘ったり相手の嫌なテニスができるのが彼の強みです。
錦織選手との対戦成績はマレー選手の9勝2敗。錦織選手も彼に対する苦手意識を公言するくらい、彼のテニスは相手にとって脅威なのだと言えます。ただ、実は今年の1月に今季限りでの引退を表明しています。年内にシングルス復帰しても錦織選手の対戦は後1回あるかどうかでしょう。どういった形でテニス人生を締めくくるのか注目されます。
テニス:ビッグ4の特徴まとめ
ビック4にもそれぞれプレースタイルに特徴があり、錦織選手レベルのプレーヤーにとっても分厚い壁であることがお分かりいただけたかと思います。
それがビック4たる所以だと思います。どの選手もベテランの域に差し掛かっていますので、次世代の選手の誰がビック4を追い越し王者に上り詰めるのか楽しみです。それが錦織選手であれば非常に喜ばしいですね。